2009-2010シーズン・プログラム発表記者会見詳細リポート
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2009-2010シーズン・プログラム発表記者会見詳細リポート
サンフランシスコ交響楽団の2009-2010シーズン・プログラム発表記者会見に行ってきました。私の人生で何かの記者発表に行くのは初体験。いったいどんな感じなのでしょう?
場所は、デイビスホール内にあるレセプション・ルーム。絵やすごく大きな花瓶に生けられた花などがあってゴージャスな雰囲気です。朝9時45分スタートというえらい半端な時間設定なのですが、通例なのでしょう。
サンフランシスコのクラシック音楽のプレスと言っても、サンフランシスコ・クロニカルとサンノゼ・マーキュリー、後ウェブのサンフランシスコ・クラシカル・ボイスくらいしかいないのでは?と思っていたら、メディアの他にサンフランシスコの芸術機関の関係者、ボード・メンバーなど100人くらい来ていて人でいっぱい。私はパーソナル・メディアということで参加。サンフランシスコ交響楽団では今回、会見の模様をネットのツイッターを使って実況していました(お姉さんがカシャカシャやっていた)。
シンフォニーからは、プレジデント、エグゼクティブ・ディレクター、マイケル・ティルソン・トーマスの3人が登壇。
写真がわかりにくくてスミマセン。せっかくウェブに載せる写真の許可もらったのに、私のカメラと技術ではこれが限界。左がエグゼクティブ・ディレクター(管理部門トップ)のAssink氏、右MTT。
最初にプレジデントのゴールドマン氏がスピーチ。MTT15期目にあたる来シーズンは、さらにイノベーティブに新機軸を打ち出しますという内容。
その後、Assink氏とMTT登場。椅子に座って対談形式でした。
ティルソン・トーマスからも15期目にあたり、初心に戻って聴衆がいてくれることで実現できるもの(たくさんの新作や知られていない作品)をシェアしたいとのコメント。
私は記者会見というものは、事実の発表が主で、それに対する発表者の挨拶&コメントが従、どちらかというとメインのスターが登場することに意義がある、そして質疑応答、みたいなイメージを持っていたのですが、見事にはずれ。ずっとMTTがしゃべっていました。
来シーズンは18週登場するそうです。
プロジェクト・サンフランシスコ
来シーズンの新たなプロジェクトは、一人のアーティストに違う角度からいろんなものを提供してもらうコンポーザー・レジデンシーとアーティスト・レジデンシーからなる、プロジェクト・サンフランシスコ。今シーズンのグバイドゥーリナの枠を拡大させたものです。
コンポーザーはイギリスのジョージ・ベンジャミン、アーティストはヨーヨー・マを取り上げます。
内容は面白そうな企画が並んでいるのですが、書くと長くなるので、後でプレスリリースをどうぞ。
マーラー・フェスティバル
ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団では、1998年にマーラーの交響曲を全曲取り上げたフェスティバルを開催したのですが、今回SFSメディアの録音が残っている「リュッケルト歌曲集」(スーザン・グラハム)、「さすらう若人の歌」(トーマス・ハンプソン)の録音とKEEPING SCOREマーラー編の収録をかねて、9月に3週間のマーラー・フェスティバルを開催します。
詳しくは
マラ5のKEEPING SCORE(DVD)が出る!
交響曲第8番「千人の交響曲」と第10番からアダージョのCD発売もこのフェスティバルに合わせる予定。
委嘱作品&プルミエ
来シーズン、作品を委嘱する作曲家は、Peter Lieberson, Osvaldo Golijov, John Adams, Rufs Wainwright, Victor Kissine, Thomas Larcher
ワールド・プルミエ6曲、U.Sプルミエ1曲、サンフランシスコ交響楽団が初めて取り上げる曲が20曲。
ティルソン・トーマスは、どういう理由でその作曲家を選んだのか、意図は何かを順番に話していたのですが、行っても行っても知っている作曲家が出てこなくてよくわかりませんでした。
作曲家についてのコメントでは、現在非常にシューベルトとその周辺に注目していて、それがブラームスやマーラーなどに反映しているのを興味深く見ていると言っていました。
アメリカ国内ツアー
ツアーは、カーネギーホールでのマーラー「復活」を含むアメリカ国内5都市のみを予定。
ツアーに関しては、意義はあるものの、長い日程にわたって毎回違う場所、違うホールで演奏することにミュージシャンの負担が重いと言っていました。
KEEPING SCORE
前3作は今までに500万人が視聴したそうですが、ショスタコーヴィチ、ベルリオーズ、アイヴズの3作「KEEPING SCORE Season Ⅱ」が秋にテレビ放映とDVDが発売されます。教育用ウェブサイトのアップデートは夏を予定。
右は本日配布されたもの。写真の小さいMTTが次のDVDジャケットです(SFSメディアのカタログなるものができた)。
このドキュメンタリー3本の完成品の一部が今回披露されました。ものすごくこだわった映像でよく仕上がっていました。3つそれぞれが全く違っていて、ショスタコーヴィチは白黒が多くて雪が積もっていて重い。対照的にベルリオーズは華やか。アイヴズは渾身の作りこみ。2人の指揮者によるホリデー・シンフォニーの映像は見ものです。
ティルソン・トーマスは、この3人を選んだ理由を話していました。
ピアニスト:マイケル・ティルソン・トーマス
来シーズンはピアノでも活躍。モーツァルトのピアノ協奏曲23番、プーランクの4手のためのソナタ(相手は中国第3の星ユジャ・ワン)、マーラーのピアノ四重奏の3曲。
わが道をゆくオーケストラ
発表内容を聞き、サンフランシスコ交響楽団は本当にわが道をゆくのだと思いました。
私の気のせいかと思い、帰ってきてから他のアメリカのオーケストラの来シーズンのプログラムを見て確かめたけれど、やはり他は常識的な選曲でスターがずらーっと並んでいました。
もっとも、サンフランシスコ交響楽団もスターが出ないわけではありませんし、ブロムシュテットのような中和してくれる存在もいる。コンテンポラリーに定番曲を組み合わせたりしてバランスはとっていました。
経済危機の影響は?との質問には、昨年中長期の見直しをしたので対応済み。芸術面は変えない。管理部門のコストを主に見直した(このカンファレンスも昨年まではもっと食べ物がいろいろ出ていたのをけずった)と言っていました。
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【追記】メディアの報道を見ても、打って出たプログラムでとても経済危機のさなかとは思えないと伝えていました。
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これから2011年の創立100周年に向けて、サンフランシスコ・シンフォニーのあり方というものを追求していくとのことですが、この調子で続けて行ったら、今まで見たことないオーケストラが出来上がるのではないでしょうか。彼らは本気だと思います。
そして何より、こんなこと実行に移すことができる経営力がすごい。
(2009.3.2)
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【追記】結局ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団は、ベイエリアの音楽コミュニティをエキサイティングに発展させることに注力しますということなのだと思います。そして一つひとつの体験を重ねていくことが大きな価値につながるという意味なのでしょう。音楽の体験が連続性ある積み重ねであるという点は、サンフランシスコ交響楽団の活動の最重要ポイントだと思います。
Tag: 経営