舞台機構の特色を生かした“シューベルト・ジャーニー”
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舞台機構の特色を生かした“シューベルト・ジャーニー”
ニュー・ワールド交響楽団の新キャンパス“ニュー・ワールド・センター”のオープニング・コンサートの2日目。「シューベルト・ジャーニー」と題し、コンサートホールの特徴でもあるサテライト舞台を使って、様々な編成の曲を連続して体験しようという試み。
コンサートは3部構成で、連続して演奏するので、曲ごとに拍手しないでという案内がありました。
プログラムと舞台構成は次のとおり。
第一部
- Overture to the Magic Harp, D.644
オーケストラ - Grand March in G minor for Piano four-hands, D.819, No.2
ピアノ連弾(サテライト下手) - Entr’acte No.3 from Rosamunde, D.797
オーケストラ - Quartet No. 12 in C minor for Strings, D.703 “Quartettsatz”
弦楽四重奏(サテライト上手) - Entr’acte No.1 from Rosamunde, D.797
オーケストラ
第二部
- “The Trout” D.550
ソプラノとピアノ伴奏(サテライト後方)
(写真はニュー・ワールド・シンフォニー提供)
- Quintet in A major for Piano and Strings, Op.114, “The Trout” IV. Theme with Variations
ピアノ五重奏(サテライト下手) - “Death and the Maiden” D.531 No.3
ソプラノとピアノ伴奏(サテライト後方)
(Arr. Gustav Mahler)
- Quartet No.14 in D minor for Strings, D.810, “Death and the Maiden”
弦楽セクション(オーケストラ) - Staendchen, Op.135
ソプラノと女声合唱(舞台上手) - March and Chorus (“Zu hohen Ruhmespforten”) from Act 1 of Fierrebras, D.796
オーケストラと合唱 - Aria (“Koennt ich ewig hier werwilen”) and Duet (“Lass dir als Erinnrugszeichen”) from Act II of Alfonso and Estrella, D.732
ソリストとオーケストラ - Quartet with Chorus (“Fort zum Siegesreigen”) from Act I of Fierrebras, D.796
ソリスト、合唱、オーケストラ
第三部
- Symphony No.8 in B minor, D.759, “Unfinished”
オーケストラ - “Shepherd on the Rock”, D.965, Op.post.129
ソプラノ、クラリネット、ピアノ(サテライト下手) - Symphony No. 9 in C major, D.944 “Great”
オーケストラ
総括
3時間もある非常に盛りだくさんのプログラムでした。同じ曲のソロと室内楽を連続して聴けるなど、興味深かったです。また合唱もホールが小さいので、通常のコンサートホールよりもずっと近くて迫力がありました。サテライト舞台も、これもホールが小さいことで遠くなく、歌詞の細かいところまでよく伝わっていました。
演奏で一番良かったのは、「岩の上の羊飼い」。クラリネット(Jason Shafer)、ソプラノ(Laura Aikin)、ピアノ(Jeremy Denk)のどれもが素晴らしくて、曲ごとに拍手するなと言われたのを忘れ、一番先に拍手してしまいました(他のお客さんも同じ反応)。
コンサートの印象としては、2009年のユーチューブ・シンフォニーのときと同じで、ボリュームがあるものをじっくり聴かせるのではないため、深い感動、、という感じではないのですが、文字通りジャーニーで、シューベルトがどういう音楽を書いた作曲家だったのかということが浮かび上がっていました。
いろんなコンサートを体験する中にこういうものがあっても面白いと思います。
ホールを生かす様々な可能性を示した、今後を期待させるコンサートでした。
(2011.1.27)