海外公演の目的
海外公演の目的
(ジェネラル・マネジャーのキーザー氏とお話した内容です)
私は5月にティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団のヨーロッパ公演を聴いたとき、こういう素晴らしくて楽しい演奏会をもっと多くの人に知ってほしいと思いました。だから海外公演の目的はそういうことかと尋ねたところ、(そんな甘いものではなく)オーケストラの海外での評価を高めるためだという答えが返ってきました。
演奏会についての批評や感想から、自分たちの取り組みと外部の評価を検証して次に役立てるのだそうです。集めた批評の束を私もいただいて帰ってきたので、その内容については別途書きます。
彼らもウィーンで公演をすることは難しい、特にマーラーを取り上げることはチャレンジングだという認識をもっていました。
オーケストラのレベルを上げるということは、多分彼らのように厳しい批評と聴衆の耳にさらされる場での海外公演を重ねていくこと、マーラーのレコーディングのように何年もかけて一つの作曲家を継続的かつ徹底的に取り上げること、フェスティバルのように短期集中で一つのテーマを掘り下げることなどによって実現されるのだと思います。通常のシーズンの演目などは、こなすことで手一杯で、それだけではレベルが上がったりはしないのでしょう。
ウィーン芸術週間のパンフレットを見ていたときに、「今年の海外からの参加は、アメリカからニューヨーク・フィルハーモニックとサンフランシスコ交響楽団の2団体です」と書いてあるのを見て、日本のオーケストラ名がないことを何だか寂しく感じました。
たとえ酷評されても、多くのオーケストラが横一線で並び、かつチケットの価格という評価がシビアに出る場(ウィーン芸術週間、ベルリン音楽祭、ルツェルン音楽祭、ザルツブルグ音楽祭の最後の1週間など)に出て行ってこそ、進歩があるのでしょう。
日本からヨーロッパに出て行くのも、カリフォルニアからヨーロッパに出て行くのも距離的にはそう変わらないはず。がんばれ日本のオーケストラ!
(2007.6.22)
Tag: 経営