全米の9オーケストラが初の共同顧客調査を実施
全米の9オーケストラが初の共同顧客調査を実施
全米の9トップオーケストラが初の共同顧客調査を実施しています。
参加団体は、アトランタ、ボストン、シカゴ、クリーヴランド、ロサンゼルス、ミルウォーキー、ニューヨーク、フィラデルフィア、サンフランシスコ。
私のところにもサンフランシスコ交響楽団とロサンゼルス・フィルハーモニックから回答依頼が来たので、それぞれの団体について回答しました。
全く同じフォーマット(ウェブ上で答える)で、オーケストラ名とホール名だけが違っています。質問の量多かったです。
これを見ると、顧客が何に価値を置いているのか、何を選択基準にしているのか、どういったサービスに魅力があるのかについて、アメリカのオーケストラも非常に悩んでいて、それを知りたがっているということがよくわかります。
彼らの関心領域をご紹介しましょう。
どこでコンサート情報を得るか? どこでチケットを買うか?
このことは、質問の形を変えて何度も聞いています。エンターテインメント情報を全般に扱うところと、オーケストラ個別の情報媒体のどちらを見るのか?Web利用はどのくらいなのか
チケット価格の妥当性
いくらだったら納得できるのか/実際にいくらのものを買うのか
コンサートに行く理由は?
音楽そのものなのか/他人とのコミュニケーションの場なのか
プログラムについて
これも繰り返し聞いてきました。現代音楽は本当のところどう思われているのか?有名作品とあまり知られていない作品、一つのコンサートにいろいろな年代の曲が混じっていた方がいいのか?指揮者のトークは有益か?ビジュアル面の仕掛けは魅力を感じてもらえるのか?客演指揮者やソリストの知名度は重視されるのか?
サンフランシスコ交響楽団で、「現代音楽を聴くことに興味がある」と「指揮者のトークは有益か?」の質問に「そうは思わない」が多数だったら、MTTは立ち直れないかも。がんばれ、MTT。
コンサート前に聴きに行く音楽の情報を集めるか?
確かにこれは知りたいでしょう。私は海外へ聴きに行くときは、せっかくの機会なので、知らない曲は事前にCDを聴いたり、本を見たりしますが、国内だったら、そのまま出かけます。
コンサートは特別な場なのか?
彼らはこのことに非常に関心があるように思いました。おしゃれをして特別の場としてプレステージを感じられる方がいいのか、そうではなく、気軽に楽しめた方がいいのか?着て行く服は気になるか?会場のアコースティックは気になるのか?クラシックコンサートのマナーはどう思われているのか?
仲間はいるのか、いらないのか?
ひとりで行くのに抵抗はあるのか?仲間ができるような場づくりにニーズがあるのか?誘ってくれる人というのは重要な役割を果たすのか?などについても関心は高いようです。
個別のサービスについての満足度
バーコーナーやトイレをはじめ、席をすぐに見つけられるかなど(ウォルト・ディズニー・コンサートホールは無理。3人くらいに聞かないとたどり着けない)細かく聞いています。
パッケージサービスへの悩みは深い
定期会員サービスに何を盛り込んだら魅力を感じてもらえるのか?どう自由度を付加すべきか?定期会員以外のパッケージサービスはどうなのか?これらについては、彼らも非常に模索しているようでした。いくつも案が並んでいて、その中から魅力を感じるもの/感じないものを選ぶようになっていました。
オーケストラが競合するものは何なのか?
オペラなど他のクラシック音楽なのか、ポピュラーミュージックや演劇、プロスポーツなのか
顧客の教育レベル
これも実際のところどうなのか、年収とともに知りたいようです。
(2007.11.15)
Tag: 経営