ティルソン・トーマスに古典的レパートリーでの記念碑的名演ができるのか?
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ティルソン・トーマスに古典的レパートリーでの記念碑的名演ができるのか?
ニューヨークタイムズが、ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団のニューヨーク公演のレビューで、ズバリみんなの疑問に切り込んでいます。
記事によると、ティルソン・トーマスが、
- アメリカのオーケストラを活性化させ、新しい聴衆をコンサートホールに呼び込むお手本であること
- 新旧の作品を組み込んだプログラミングの魅力があること
- 聴衆に音楽の話をする天賦の才があること
これらはもうよくわかった。それでは、ティルソン・トーマスは、ベートーヴェンの第九のような作品で、記念碑的名演ができるのだろうか?
答えはYes。今回彼はそれをやってみせたと書いています。
記事では、音楽についても詳しく分析されていますが、彼の音楽から受ける新鮮さ、感じるものというのは、複雑なディテイルに光を当てることと、冒険的な試みから来るのだと指摘しています。要するに、あの練り上げが身上だということでしょう。
そして、彼は決して安易な効果や表面的な感動というものに走らないのだと指摘しています。
この指摘、心から同意しますし、これこそが世の中の大多数の指揮者とMTTの大きな違いの一つだと私は思います。書いてくれてありがとう。
プロコフィエフがプログラムの日のレビューの方は、プログラミングに大きく言及しています。
20世紀作品だけを組み合わせて、ここまで魅力的にコンサートを提供できるということを示したのだと指摘していました。
最後に、今シーズンのカーネギーホールは、最初にサンフランシスコ交響楽団が登場し、斬新さと聴衆を惹き込むことにおいて、後に登場するオーケストラに高い水準を課すことになったと結んでいます。
この記事を読み、夫からもはや何を聴いても大絶賛の信者耳なのではないかとか、ちゃんと聴いてきたのかとか、疑惑の目を向けられていた私も、「信者耳ではなかった〜」と安堵。
俄然、我が意を得たりに。
過去のレビューも含めて、こんなにティルソン・トーマスがニューヨークタイムズで持ち上げられたことはなかったのではないでしょうか。
とは言っても、こう書かれるということは、サンフランシスコとマイアミ以外で、圧倒的に演奏を披露する機会が少ないことの裏返しでもあるように思います。
今年は4月に、National Endowment for the Arts(国からの芸術支援のお金はここから出る)チェアマンから「マイケル・ティルソン・トーマスは、アメリカのオーケストラの中で最高の音楽監督である」発言もあったし、今回のバーンスタイン・フェスティバルでの扱い、そしてダメ押しのニューヨークタイムズの記事。これはひょっとして
もういいかげん四の五の言う人はいませんね?いいですね?
という意味?
ここまで来るのに長かった。。。
記事はこちら
Music Review
A Fresh Beethoven With an Exuberant ‘Ode to Joy’
By ANTHONY TOMMASINI
Published: September 28, 2008
(2008.9.30)
Tag: コンサート