サンフランシスコ交響楽団の2008-2009年度の活動収支報告
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サンフランシスコ交響楽団の2008-2009年度の活動収支報告
サンフランシスコ交響楽団が、2008-2009年度の活動収支報告をしました。
年間の事業規模が61.2百万ドルで、収支は299千ドルの赤字。この数字だけでは何とも言えませんが、前期は基金の運用益の減少も大きかったことでしょう。サンフランシスコ交響楽団は、過去2000年にITバブルが崩壊したときも赤字決算でした。
こうしたデータの開示について、サンフランシスコ交響楽団はウェブサイトにアニュアル・レポートを掲載していません。先だってオーケストラ・コンサルタントの Drew McManus 氏が各オーケストラのウェブサイトを採点したときも、サンフランシスコ交響楽団は軒並み高スコアをマークしていたのですが、一つだけ極端に低い評価の項目があり、それがこの財務データの公表でした。
思いっきりビジネスをやっている SFS Media の存在から、数字が複雑なのかもしれませんが、(寄付者等には紙ベースのきちんとした報告書が提出されるにしても)明らかに他のオーケストラに見劣りしていますし、リーディング・オーケストラかどうかは、こういうところこそが見られる。
皆がインターネットで情報を探す時代にあっては、組織の透明性イメージにも直結します。
他でいろいろがんばっているだけに残念。彼らが今後どう行動するか、要ウォッチです。
他のメジャー・オーケストラはどうなのか?
~ウェブサイトに掲載している情報の比較~
一番情報が充実しているのは、ニューヨーク・フィル。
こちら
シカゴ響は、数字は多く出していませんが報告書は充実。
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税務署(?)に出す書類をそのまま貼り付けているフィラ管。ないよりずっとマシ。
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クリーブランド管はごく真っ当な印象。
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ボストン響は、アニュアル・レポートは見つけられませんでしたが、経済環境が活動に及ぼす影響について詳しく報告しています。
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ロス・フィルは、ウェブサイトがグスターボ一色で見つけられず。
日本のオーケストラは?
在京のオーケストラでは、N響と都響は母体の関係から当然きちんとしているとして、
新日本フィルの報告書がアメオケも顔負けの充実ぶり。
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新理事の選任
年間の活動報告では、昨年度の活動成果の他に、新たなボード・メンバーも報告されていました。
PayPal の創業者の方が加わっていたのが、何ともサンフランシスコ的。このボード・メンバーの選任というのは、非常に戦略的なもので、どういう顔ぶれかということが、資金集めにも意思決定にも大きく影響します。サンフランシスコ交響楽団が他に先駆けて自主レーベルをスタートしたのも、そういう方向性のメンバーが取り揃っていたことの結果。
そういう点では、東フィルの理事に、楽天の三木谷浩史氏が就任したことは、今後の動向が期待される出来事。
サンフランシスコ交響楽団の2008-2009年度の活動収支報告
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(2009.12.10)
Tag: 経営