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アメリカのオーケストラの楽団員の給料を比較する

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アメリカのオーケストラの楽団員の給料を比較する

オーケストラのコンサルタント Drew McManus 氏が、アメリカのオーケストラの楽団員の給料を比較する記事を書いていたのでご紹介します。タイトルは、

ビッグ5、それとも7、いや6か?

というもの。昨年12月の英グラモフォン誌「世界の最も偉大なオーケストラ20」にフィラデルフィア管弦楽団がなかったことが、日本でもちょっとした話題になりましたが、今度はクリーブランド管弦楽団が楽団員の給料で、トップグループから脱落しそうだという内容。

そもそもアメリカのオーケストラに関してビッグ・ファイブと言われたのは、予算の規模、録音の多さ、楽団員の給料などが指標になっていたそうです。そして当時はそれが芸術レベルに対する大方の見解と一致していたのでしょう。

今は芸術面でも運営面でも西海岸のロサンゼルス、サンフランシスコの2つに勢いがあり、ビッグ・セブンという見方でほぼコンセンサスがあるようですが、クリーブランドが楽団員の給料で後塵を拝し、他の6団体との差が開いてきており、このまま行くとワシントン・ナショナル交響楽団にも抜かれてしまうかもしれない状況だと分析しています。

記事では、サンフランシスコ交響楽団が2011-2012シーズンまで年4.33%の昇給で契約を締結したとしていますが、これは2011年の創立100周年があることから、それを一致団結で乗り越えるべく契約年数を定めたもの(過去組合ともめて、活動中断したことが教訓にある)。ただし、経済状況次第では、予期できない要因による事情変更はありえると思います。

クリーブランドは、芸術面はともかく資金面では、民間から集めるという構造上都市の浮き沈みの影響は不可避でどうしようもない(冬の間マイアミ行って興行するなどがんばっている)。

興味のある方は、記事を直接どうぞ。具体的な金額の他、グラフで推移も見ることができます。
こちら

*このページの最後に報酬一覧へのリンクもあり

ビッグ・ファイブ論議ってアメリカでも日本でも好んでなされますが、演奏レベルに関しては、私はアメオケトップ20くらいは差があったとしてもコップの中の嵐みたいな話だと思います。

この20くらいの中で、どれだけ人々を惹きつけられるものを出せるか、どれだけ音楽の力でコミュニティを活性化できるかが問われている。これに関してはやりよう次第なので差がつく。世界的マエストロがいない方がかえって大胆に動けるので、思わぬところからダイナミックな動きや変化が出てきて、先頭集団が入れ替わる可能性は常にあるのではないでしょうか。

(2009.5.13)

追記:新聞でも話題

シカゴ・トリビューンもオーケストラの楽団員の給料を記事で取り上げ、この景気後退期にオーケストラが削れるのは人件費しかなく、楽団員の給料カットはやむを得ないのではないかと提案しています。

シカゴ交響楽団では、2010年から客演指揮者とソリストの費用を現在よりも年間2百万ドル削減すると発表したそう。そして最大のコスト・アップ要因である音楽監督のギャラについて、カラヤン、バーンスタインの時代に吊り上がったままであり、過去の負の遺産なのだから、適正水準にすべきであると書いています。既にウェルザー=メストは2割自主返上したそう。来シーズンも在職する中で最高値なのはレヴァイン、MTT。彼らの動向が業界に影響していくことになるのでしょう。

記事
Orchestras battling the recession need a bold new business plan is needed. Think salary cuts

(2009.5.17)

さらに追記

フィラ管は2009-2010シーズンから4.8%カットだそうです。

(2009.5.28発表)

ボストン響は管理部門のスタッフ10名をレイオフしました。エンダウメント(基金)の傷みが大きかったそう。

(2009.6.25)

報酬一覧のレポートが掲載されました

Drew McManus 氏のサイトに2009年のレポートがアップされました。

総費用や楽団員のベースサラリーも掲載。

*その後、詳しい数字は有料での提供に切り替えた模様。

Tag: 経営

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