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ムターのメンデルスゾーンヴァイオリン協奏曲

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ムターのメンデルスゾーンヴァイオリン協奏曲

サンフランシスコ交響楽団に登場したアンネ・ゾフィー・ムター。今回グバイドゥーリナの他に、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲も演奏しました(2/28、3/1)。

デイビスホールは2nd Tierで聴くのが良いという情報を複数いただいたので、今回私も2nd Tierの席を買ってみました。

まずコンサート前に30分間のプレトーク。これが面白かったので
ジェームズ・ガフィガンのプレトークが面白かった
で詳しくご紹介しています。

プロコフィエフのアメリカ序曲

コンサート1曲目はアメリカ序曲。この曲は前にプロコフィエフのフェスティバルをやったときにも聴きました。演奏の完成度はそのときの方が高かったような気がしなくもないけれど、今回プレトークで聴いた形式の話が、音楽を聴くとなるほどと実感できた点が良かったです。

徹底キャラ対決のゆくえは?

2曲目はお待ちかね、ムターのメンデルスゾーンヴァイオリン協奏曲

ムターはただ今、マズア指揮のゲヴァントハウス管弦楽団とのこの曲のCDを売り出し中。この超有名曲をどう聴かせてくれるのか楽しみでした。

ドレスはトレードマークの肩が出ている細身のもので、色はエメラルド・グリーン。すごく指揮者の近くに立ち、100%指揮者が見える状態です。あのうっとおしいくらいのMTTのすぐ近くに立つとは、もうそれだけで根性に惚れました。

演奏は、今まで聴いたこの曲とは違う地平にあるかのようでした。

ヴァイオリン・コンチェルトがピアノ・コンチェルトとは違って、オーケストラにもヴァイオリンがある中でのソロ楽器の位置づけとか、オーケストラとソロ楽器のバランスとか、そういうことをとても考えさせられました。

ムターは、例えば木管に合わせて入っていく場所などは、木管の方を向いて合わせていました。そのバランスと浮かび上がってくる音が本当に素晴らしかったです。

そして厚く深く弾く部分と細く弾く部分のレンジが大きい。

中でも2楽章が印象的でした。ソロとオーケストラのコンビネーションがこれ以上ない次元で実現していたと思います。一般的な演奏はオーケストラを鳴らしすぎなのだと思いました。そして録音で聴くヴァイオリンのソロはマイクで録っているので大きく入っている。自然な空間では1本のヴァイオリンはそんなに音が大きくないのです。その自然な感覚とそれにふさわしいオーケストラというのが、これは録音を聴いていたのではわからないと思いました。

上の文章を読むとムターの話なのかMTTの話なのかわからないですが、それくらいコンセンサスが出来ていて、ムターがソリストだけれど一員として音楽をつくっていたと思います。

たっぷりと歌った2楽章と対照的に3楽章は非常に軽快に一気に弾ききっていました。ものすごく軽さが出ていました。

ムターはいつどこで見てもムターで、演奏も肖像も完璧に品質管理されていて、そういう意味ではカラヤンみたいだし、本当にプロフェッショナルかつスターなのだと思います。
CDではどんな演奏なのか聴いてみたいです。

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【追記】NHKで放送されたマズア&ゲヴァントハウスとの演奏を聴いたら、サンフランシスコで聴いたのとは、随分違う印象でした。ゲヴァントハウスは終始「女王様の仰せのままに」という感じでしたが、SFSはコラボ的でした。MTTに対しても「私はあなたに負けない」調で、ふたりとも丁々発止やっていました(2009.7.18)。

ラヴェルのワルツ2作

プログラムの最後は、今週ずっとやっていたラヴェルのワルツ2曲。優雅で感傷的なワルツとラ・ヴァルス。

演奏前にティルソン・トーマスがマイクを持って話をしました。これが2日とも違っていて、本当にそのとき思いついたことを話しているようです。

優雅で感傷的なワルツについては、やはり今とは違うエレガントさについての話。バレエではダンサーが違う色の花を頭につけて、その色が感情を現していたと話していました。そして最後の曲がエピローグで一番重要だという話。

ラ・ヴァルスの方は、ラヴェルが前書きしたシナリオのヒントを読み上げていました。最後の「ダダダダ、ダン」については、以前MTTが使っていた電子レンジの出来上がりを知らせる音が「ピ、ピ、ピー」という音で、その様子(加熱のファンがまわっていて、突然それが切れて電子音が鳴る)を見て、ラ・ヴァルスの「ダダダダ、ダン」と同じだと思ったと言っていました。

演奏は、2/28が非常に神経が行き届いていたし、集中力もあって素晴らしかったと思います。ラ・ヴァルスが終わったとき、客席から上がった歓声が「ヒュー」でしたから。この日は帰りにホールから出るとき、メロディーを口ずさんでいる人が何人もいました。

最終日3/1は、優雅で感傷的なワルツの方は、話をしていた通り非常にエレガントで1曲1曲のキャラクターも素晴らしく描かれていたと思います。他方、ラ・ヴァルスは暗譜。ティルソン・トーマスが暗譜のときって、

注)放し飼いにすると危険です

と思う。今日もやってやるぜマインドが炸裂。本当に毎日演奏が違っていて感心しますが、オーケストラもよくついていっていました。

28日は2nd Tier、1日は1st Tier(ともに1列目)の席だったのですが、確かに2nd Tierは全体がよくわかる音でした。そんなに遠い感じもなかったです。1st Tierでも2nd Tierでもあまり変わらないように思いました。

2/28(土曜)は、コンサート終了後ホールの前に観光バスが待っていました。ツアーってどこからなのでしょう?

(2009.2.28、3.1)

Tag: コンサート

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