KEEPING SCOREの教育プログラムのサイトがリニューアル
KEEPING SCOREの教育プログラムのサイトがリニューアル
teaching through music、すなわち主要教科の授業の手段として音楽を取り入れるという、サンフランシスコ交響楽団の教育プログラムでの新たなチャレンジ、KEEPING SCOREの教育プログラムのサイトがリニューアルされました。
2007/9月からの新学期に向けて行った先生方への研修の内容と、昨年度の成果をふまえたモデルカリキュラムが公開されています。
昨年度は1年目で試験段階でしたが、今年は参加する先生の数も増え、また地域もカリフォルニア以外のアリゾナ等へも拡大。
先生方への研修
地元の公教育を担っている先生方をデイビスホールに集め、夏休みに1週間の研修を行いました。今年は6月にフェスティバルを行ったプロコフィエフが題材。
ティルソン・トーマス(MTT)が先生方へのセッションを行った他、フェスティバルに登場したピアニストのフェルツマンも参加。ロシア音楽のミュージシャンや俳優の朗読なども交えて、先生方に多角的にプロコフィエフの音楽を体験してもらいました。
この1週間の研修の目的は、先生方に様々な音楽経験をしてもらうことで音楽のパワーを実感してもらい、授業に音楽を用いることのイメージを具体的にもってもらうということ。
フォロー研修
実際に学期が始まった後は、各地域ごとに分かれ、一定期間ごとにフォロー研修を4回行います。
ここでは具体的な導入の仕方を詰めていきます。一人ひとりの先生ごとにスタッフのフォローがつきます。各地の教育機関と連携しているとはいえ、ものすごい手間。半端ではないプロセスです。
導入カリキュラムの公開
昨年度実施したクラスのカリキュラムを公開しています。
先生ごとに何の授業でどう音楽を用いたか、先生が作ったカリキュラムとその成果を見ることができます。
本当に国語や算数、社会など様々な教科で、先生方がそれぞれの切り口で工夫をこらしたカリキュラムを作って実施しています。非常に自由度が高いことに驚いてしまいました。
コミュニティプログラムも開始
KEEPING SCOREプロジェクトでは、コミュニティプログラムも開始されました。
こちらは手始めに、フレスノ・フィルという地元のオーケストラのベートーベンのフェスティバルと連携。「ベートーベンへの手紙」と題して、ベートーベンの音楽を聴いて感じたことをベートーベンに伝えようというキャンペーンで、手紙を書いてそれを本人が読み上げたものを集め、ラジオで放送しました。
KEEPING SCOREプロジェクトの核心
これらを見ると、KEEPING SCOREプロジェクトの核心が、こうした教育やコミュニティプログラムにあるということが、よくわかります。
彼らが選んだチャイコフスキー、ベートーベン、ストラヴィンスキー、コープランドという題材、そしてドキュメンタリーや歴史的視点のウェブサイトは、こうしたプログラムに様々に展開できるという観点から作られているのです。
こうしたプロジェクトをシンフォニーが企画し、資金を集めて無料で地域に提供しているという点も含めて、あらためて革新的な取り組みだと思います。
(2007.11.4)