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遂に見た!KEEPING SCOREのブルーレイ

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遂に見た!KEEPING SCOREのブルーレイ

遂に来ました~KEEPING SCORE(キーピング・スコア)のブルーレイ。ずいぶん待ったような気がしますが、オーダーした日付を見たら9月29日で、客観的には大したことない日数。

ディスク毎に演奏の感想を記します。

ショスタコーヴィチ:交響曲第5番

3本のディスクの中で、予想を超えて面白かったのが、ショスタコーヴィチのコンサート映像。2007年のプロムスでの映像ですが、アウェイ一発勝負の緊迫感が、いつものデイビスと違います。約5千人の大観衆の雰囲気も独特だし、非常に白熱した演奏。

なぜプロムスなのか?ということに関して、私はツアーに力を入れていることをアピールしたいのだろうと思っていましたが、イントロダクションでティルソン・トーマス(MTT)が話していた通り、プロムスというのは、多岐にわたる音楽を幅広い人々とシェアしてきた歴史と実績がある。そういう点でプロムスは、KEEPING SCOREにぴったりの場ということなのでしょう。

サンフランシスコの人々に、シンフォニーを支援することの肯定感を与える効果もあると思います。

ベルリオーズ:幻想交響曲

そんなプロムスのショスタコーヴィチに対して、デイビスの幻想交響曲は、完璧に準備したいつもの彼ら。きれいな造形の音楽で、カメラ・アングルも凝っています。

DVDの感想でも書きましたが、情熱で押し切る演奏ではなく、静かな表現と感情の振幅に力点を置いているので、ぜひそこに着目して聴いてください。一つの解釈として、「これもあり」という説得力があります。

アイヴズ:Holiday Symphony

アイヴズは、見事に期待に応えた演奏だと思います。楽章毎にティルソン・トーマスによる、アイヴズがリスナーに書き遺したガイダンスが挿入されています(サンクスギビングはMTT作)。演奏編が終了した後も、ティルソン・トーマスがアイヴズの音楽についてしゃべっている映像が続きます。何かアイヴズ編だけで3巻くらい作れそうな勢い。MTTの顔の映像って、ついつい口の大きさに目が行きますが、ここでしゃべっている内容は、核心的であり、音楽家に向けたメッセージでもあるので重要。

アイヴズ編の演奏は、サラウンドの効果絶大です。7月4日は、音がものすごいレンジで入っていますし、最後のサンクスギビングは、合唱が圧倒的。

こんなもの作ってくれてありがとう!と涙。

3人のMTT

3曲の映像を見て思うことは、曲ごとに指揮するMTTの雰囲気が違うということ。

曲の世界へのなりきり度が徹底していて、真正の芸人なのだ。

ぜひともブルーレイで

今回、DVDもブルーレイも両方買ったわけですが、音も映像もレベルが全く違います。

ブルーレイの音声は、Dolby TrueHD 5.1, 7.1, 2.0 の3種類(ショスタコーヴィチは7チャンネルなし)。本当はSFS MediaにリニアPCMを選んでほしかったけれど、私の耳ではリニアPCMとロスレスの違いを聴き分けられないから、影響なし。マルチと2チャンネルでも、音場感でかなり印象が変わります。

今まで市場に出ていたオーケストラもののブルーレイは、普通のコンサート映像で、きれいな映像と良い音というブルーレイのメリットは付加的なものでした。これに対して、今回のKEEPING SCOREは、最初から映像も演奏もHDで提供すべく企画・制作され、細かく作り込んであります。技術の進化が、創り手のアプローチを変え、聴き手もこの変化に対応することで、家庭におけるクラシック音楽の愉しみ方が大きく広がるモデルケースとしても、非常に楽しめるディスクです。

(2009.12.10)

Tag: 録音

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