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同じコンサートのチケット価格が時期によって変動する仕組み

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同じコンサートのチケット価格が時期によって変動する仕組み

オーケストラのマーケティングで重要なものの一つが値づけですが、アメリカでは同じコンサートの同じ席のカテゴリーの価格を時期によって変動させ、空席率を減少させるとともに顧客獲得につなげようという試みが広がっています。

これはシルバー割引や学生割引といった固定層の割引ではなく、航空券の価格のように季節や需給によって価格が変動するイメージ。

こうした動きにより、顧客は「何を買うか?」ということ以外に、「いつチケットを買うか?」ということにも関心を持って行動し、実際にシーズンのパンフレットに書いてある価格表の価格よりも安く入手している人が多いそう。

サンフランシスコ交響楽団を例にすると

  • 流れとして、シーズン前にまず伝統的な定期会員を募集、時期を遅らせて3公演など敷居を下げた定期会員パッケージですそ野を広げ、その後定価のシングルチケットを販売。シーズン開始後は残席数を見ながらキャンペーンを打ち、最後はラッシュチケットでさばく、というパターン。

具体的には、

  • 人気公演を確実に入手するには、定期会員。例えば、昨シーズンのプロジェクト・サンフランシスコのヨーヨー・マ。定期会員募集の時点で埋まり、その後キャンセルもほとんど出なかった。
  • 売れ行きが悪いコンサートは、公演の前週に半額オファー等をメールで流してさばく。今シーズンのMTT指揮「英雄の生涯」などはこれ。
  • 毎年1月下旬にシーズン後半の公演の残りチケットを期間限定で2プライスの割引価格で販売。主にシングルチケットで出かける人は、このセールがあることを見越してチケットを買う。
  • ラッシュチケット。公演当日に残った席は20ドルで販売される(席のカテゴリーは限定)。ラッシュチケットが出るかどうかは公演前日にわかる。“通”はラッシュチケットが出そうな公演かを見極めながらあらかじめ買うべき公演を決める。
  • 今のところ、人気公演で需要がある場合に価格が上がる仕組みはなし(買った人がネットオークション等に出す)。

これらは芸術団体自身が、チケット販売のコントロールを持っているからできることですが、顧客のメリットもあり、空席も減らせる。

高いチケット価格がそのままコンサート当日まで変わらず、コンサート会場でアーティストが登場するまでの“間”に“結構空席だ“という空気が会場内にいかんともしがたく漂っているよりもずっと良いと思います。

参考記事
Adjust Ticket Prices and They Will Come
By Georgia Rowe

(2010.11.21)

Tag: 経営

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