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レヴァインがタングルウッド音楽祭キャンセルでMTTが代役

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レヴァインがタングルウッド音楽祭キャンセルでMTTが代役

今シーズン2回背中の手術を行ったジェームズ・レヴァイン。音楽監督を務めるボストン交響楽団の公演への出演キャンセルが続きましたが、来シーズンからの復帰に万全を期すため、予定されていたタングルウッド音楽祭への出演も見送ることになりました。

音楽祭のオープニング・ナイトを含め、代役を務めるのはマイケル・ティルソン・トーマス

私はこのニュースに接したとき、「やっぱり、、」と思いました。

なぜなら、先だって「アバド入院!」のニュースが流れたとき、わが家では次のような会話がなされたのでした。

ルツェルンまでには元気になってほしいよね。アバドのいないルツェルンなんて盛り上がらないし、代わりを探すって言っても、夏に仕事入れていない指揮者なんていなさそう。誰かいたっけ?

トーマス?

おー、トーマスがいた。夏に仕事入れていない指揮者!

そして療養中なのはアバド以外にもいて、スケジュールが空いていたのはやっぱりMTTだった。

注目のオープニング・ナイトは、マーラーの「復活」(レヴァインのときからこの曲に決まっていた)。
期待できると思います。

昨年のタングルウッドでのベートーヴェンの第九の公演も大成功だったし、何よりも今シーズンのシカゴ交響楽団の客演が素晴らしかったので、客演でも相当いけるはず。

このシカゴ響、私はラジオで聴いたのですが、シカゴ響の演奏というのは、オーケストラ団員が無意識的に「これで十分」と線引きしてそうに聴こえることがままあり、今までMTTが客演のときも同様の印象だったので、「これが客演の限界か」と思っていました。

ところが今シーズンは、曲がジーガーやベルクだったこともあるのでしょうが、どこまでもノー・リミット。全員ができ得る限りの最高のパフォーマンスをしようとしている演奏でした。常任ポストでないMTTとここまでがんばれるって、

シカゴ響の人たちは本当の音楽家なんだ

と感動しました。逆を言えば、ティルソン・トーマスにもミュージシャンを動かす何かがあったのだと思います。だからボストン交響楽団でも、どんな音楽を聴かせてくれるのか楽しみ。

ティルソン・トーマスの出演予定

  • 7月9日 Opening Night (ボストン交響楽団)
    Mahler:Symphony No. 2, Resurrection,
    Layla Claire, soprano
    Stephanie Blythe, mezzo-soprano
  • 7月16日 (ボストン交響楽団)
    Stravinsky: Symphony of Psalms
    Mozart: Requiem
  • 7月17日 (教育活動)
    Tanglewood Music Center Orchestra 
    Mahler: Symphony No. 3
  • 7月12日 (教育活動)
    Tanglewood Music Center Orchestra
    コンダクティング・フェローを指導
 

タングルウッド音楽祭ウェブサイト
*レヴァインの穴を埋めるのは、MTTの他に、Christoph von Dohnányi (8/1,2)とHans Graf (7/25) がいます。

*レヴァインは来シーズン、メトでリングの新プロダクションが予定されているそう。
早く元気になるようがんばれ。

(2010.6.15)

【追記】
ボストン・グローブに詳しい記事
MTTは案の定、夏は海辺の隠れ家で書き物をしたりしてゆっくり過ごす予定だったのだが、オファーを受けて即断したとの由。理由はタングルウッドがなかったら今の自分はないと思うからだそう。

(補足)
MTTは24歳のときにタングルウッドにコンダクティング・フェローで参加。その年は当初ストラヴィンスキーがハーバード大学で講義をするのを手伝いにいくことになっていたのだが、ひょんなきっかけで、タングルウッドから委嘱された新作オペラを振ってくれる指揮者を探している作曲家 Stanly Silvermanと知り合い、新作の指揮を頼まれる。MTTはさんざん悩んだ末にハーバードはやめてタングルウッドへ行くことに。そしたらその曲の初演が大成功し、MTTはクーセヴィツキー賞をもらい、ボストン交響楽団を振るチャンスを得、あれよあれよという間にスタインバーグが病気になって(と、ここからはいつも経歴に書いてある話が続く)。

(2010.6.16)

Tag: MTT

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