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シャイー指揮ゲヴァントハウス管弦楽団で「復活」を聴く

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シャイー指揮ゲヴァントハウス管弦楽団で「復活」を聴く

2011年5月18日はグスタフ・マーラーの100回目の命日ということで、ヨーロッパ中でマーラーを演奏するスペシャル・コンサートが行われました。

その中で、私はライプツィヒで開催中のインターナショナル・マーラー・フェスティバルの2日目、リッカルド・シャイー指揮のゲヴァントハウス管弦楽団の交響曲第2番「復活」のコンサートに行きました。

このマーラー・フェスティバル、昨年9月にルツェルン音楽祭に行ったときから大々的に宣伝していたので、どんな感じなのか?ライプツィヒに行ったことがなかったこともあり、非常に興味がありました(音楽祭の様子は別記事でご紹介)。

コンサートホール

来てみてわかったことは、世界的に有名なゲヴァントハウス(コンサートホール)は音響が良くない。今日私が座った席は、おそらくホールの中で一番よい部類の席(Lカテゴリー4列目正面)だったのですが、直接音が直撃してくる。弦だけとか合唱だけだと問題ないのですが、マーラーのような大人数で強奏するとホールのマイナス面がクローズアップされる。だから、マーラー演奏にこのホールは向いていない。

ライプツィヒの街は素晴らしく、ここで音楽祭をやることの意義はあると思いますが、ホールの音響がきついというのが、一番の感想。ゲヴァントハウス管弦楽団は、こういう条件の良くないところでこれだけがんばっているのだということを知ると、楽団を見る目も変わろうというもの(シャイーはファンとの交流イベントはじめ、とてもがんばっている様子)。

音楽祭初日の演奏はインターネットで生中継されたので聴いた方も多いと思いますが、さてどんな演奏を聴かせてくれるのか?(今日もカメラ撮影していました。映像が売りに出るのかも)

交響曲第2番「復活」

1楽章の出だし、「タタタタタン」そして3度上がって「タタタタタン」と入りますが、シャイーは十分な間をとっていました。とにかくシャイーは達者。いろんな表現をエネルギッシュかつ意欲的にやっていたと思います。

弦の奏でるメロディーも非常にきれい。

しかしいかんせん直接音が直撃してきて、展開部の強奏などものすごい大きな音で「バシャーン」という響きなのです。金管と打楽器が入ると、弦が聴こえない。1楽章は響きに耳が慣れないうちに終わってしまったという印象。

1楽章が終わるとシャイーは指揮台から降りてたたずんでいました。指示通りに休むのかな?と思いましたが、5分はなかったと思います(3分くらい?)。歌手もここで入場。

2楽章は特に印象に残る点はなく、常識的な演奏。3楽章は(楽器の名前がわからないのですが)すだれみたいなのをたたく人のたたき方が重たくて、演奏を後ろにひっぱっているように感じました。

4楽章は非常に良かったです。アルトのSarah Connllyは声の重量も豊かさも十分で、オーケストラとのアンサンブルもクリアでした。

そして5楽章。前半部分はまたも大音量でした。シャイーはいろんな表現は工夫していましたが、バランスにはあまり関心がなさそう。

しかし5楽章はとにかく合唱がべらぼうにうまかった。Rundfunkchor Berlin, MDR Rundfunkchor, Gewandhauschorの3団体からなり、舞台後ろのカテゴリー全部を占める大人数だったのですが、低音とのバランスもとれていて、透徹された素晴らしい響きでした。

ソプラノのChristiane Oelzeは声がきれいに抜けず、テキストの表現でカバーしようとしていたので、ソリストが入らず合唱だけのところの方がずっと良かったです。

最後は舞台裏で演奏した金管のメンバーも舞台に出てきてメガ級の迫力で大団円。シャイーは最後zu Gottのzuで思い切り音量を落として盛り上げていました。

当然のように満場の聴衆は大歓声とスタンディング・オベーションでした。

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マーラー・フェスティバルは、メジャー10団体による演奏が5月29日まで連日繰り広げられます。おそらく21世紀のマーラー演奏を提示して問うというよりは、豪華メンバーが祝祭的に演奏しました的様相を呈するのではなかろうかと思いますが、マーラー・イヤーがこんなにも盛り上がっているのを目の当たりにすると、感慨深いものがありました。

(2011.5.18)

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