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サンフランシスコ交響楽団の東京公演1日目を終えて

サンフランシスコ交響楽団の東京公演1日目を終えて

マイケル・ティルソン・トーマス指揮サンフランシスコ交響楽団の東京公演、サントリーホールでの1日目は大成功でした。聴きに行かれた皆さまお疲れさまでした。なんか昨夜は興奮して、なかなか眠れませんでした(いつもは布団に入ってすぐ爆睡する)。

レビューについては、他の方々におまかせするとして、私が気づいた点を記します。

  • 東京で最大級にがんばった
    オーケストラはもちろんホームとは違うホールであることやツアー(訪問都市それぞれでかなり気候が異なっていた)の疲れなどがある条件下でしたが、最大級の集中度、東京で本当にベストを尽くしていたと思います。これまで彼らのアメリカ東海岸やヨーロッパへのツアーを何度も聴いてきましたが、ツアーでこれほどの演奏が出たことはなかったのではないかと思うくらい。

東京公演の前にマーラーを演奏したのは上海でした。上海での演奏はまとまっていたものの、全体的に粗い印象を受けました。私は「これを東京でやっても、観客は喜ばないのではないか。日本にはマラオタがたくさんいて、マーラー演奏に対する評価が厳しいのに大丈夫なのだろうか?CDを聴いて期待して来る人ががっかりするのではなかろうか?」と思いました。

ところがふたを開けたら、台北と上海の聴衆に失礼なんじゃないかというくらい、東京での演奏は気合が違っていました。特にトーマスのテンションのレベルが何段階も違う。北京では肩を痛そうにしていたので、とても心配していましたが、「どうしちゃったの?」というくらいがんばっていたと思います。私は気づかなかったのですが、昨夜も肩を痛そうにした瞬間が一瞬あったそう。私は呑気に北京で肩が痛そうに見えたのは気のせいだったのかな、大丈夫そうだし…と思って見ていました。

  • 私よりファンな方がたくさんいた
    演奏が終わった後の聴衆の反応がすごくて、そこからMTTだけのカーテンコール(2回)まで、非常に盛り上りました。特にMTTだけが出てきたときに、最前列のあたりに三重くらいになって集結していた人たちの称えぶりを見て、「私よりファンな方がたくさんいる!」と感激。

うちではかねてより、日本にはMTTのファンが、メディアやネットに出ているものから受ける人気度と違ってかなりたくさんいる(そうじゃないと、SFSメディアが日本で売れたと言っているマーラーのCDの販売数と合致しない)。ただ皆それを表立って言わないだけ。クラヲタ集めてMTTの踏み絵でもやればいいんじゃないの?と話していました。なんか昨夜はそんな方々がサントリーに集結して、日頃の思いのたけを歓声と拍手に込めて発散させた、みたいな印象を受けました。MTTは相当うれしかっただろうと思います。

  • 連弾が出た
    ユジャのアンコールはMTTとの連弾(プーランクの4手のピアノのためのソナタよりフィナーレ)でした。ツアーでのユジャのアンコールは独奏のときは毎回違う曲で、それも非常に楽しめる内容だったのですが、MTTとの連弾を期待していた人は多かったと思うので、聴けて良かった。ユジャはパープルのドレスでした。1回しか公演がなかった北京でも着ていたし、今回持ってきた中で一番のお気に入りなのでしょう。
  • 日本の聴衆は素晴らしい
    サンフランシスコ交響楽団のコンサートを多く聴くということは、必然的にアメリカでのコンサートを多く体験することになります。今回は特に中国でコンサートを体験した後、東京公演に行ったので、あらためて東京の聴衆は素晴らしいと感じました。昨夜のコンサートは、聴衆が演奏を聴く集中度が非常に高く、それが良い演奏を生んだ面も大きかったと思います。迷惑な物音もなかったし。
  • ホールが満杯になって本当に良かった
    今回の来日公演にあたり、絶対にガラガラのまま公演を迎えたくないと強く思っていました。特に昨今はお客さんの入りが半分くらいのオーケストラ・コンサートがままあると耳にしていたため、半端なく危機感を持っていました(前回LAフィルが来たときの件もあったし)。結果的にホールは満席と言って良い状況だったと思います。ホールが埋まって本当に良かった!
  • 声をかけて下さった方、ありがとうございました
    私がウェブサイトや本に載せているプロフィール写真は、プロの方がメークしてカメラマンに撮ってもらったもので普段の実物とはかなり異なっている(実物はおめでたいあひるみたいな顔)なので、ウェブサイトや本を読んでくださっている方が私を見ても、わからないだろうと予想していましたが、何人かの方が本を読んだと声をかけてくださり、びっくりしました。ありがとうございました!
 

サンフランシスコ交響楽団のアジアツアー2012は、今晩の都民劇場が最後の公演。今日も良い演奏が出ることを祈ります(3曲ともとてもハイレベルに仕上がっていますので、昨日しかチケットを買っていなかった方もぜひ)。

 

2012年11月19日 サントリーホール
【プログラム】
ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲(ピアノ:ユジャ・ワン)
マーラー:交響曲第5番

マイケル・ティルソン・トーマス(MTT)指揮
サンフランシスコ交響楽団

(2012.11.20)

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