オーケストラで “社会に新たな価値を創造するチャレンジ” を考えてみるサイト

サンフランシスコ交響楽団のアジアツアー:北京

サンフランシスコ交響楽団のアジアツアー:北京

ティルソン・トーマスとサンフランシスコ交響楽団のアジアツアー2012。いよいよ楽団初となる北京公演です。

東京公演のネタバレにならない範囲で、注目点や感想をアップしています。

 

2012年11月16日 国家大劇院(コンサートホール)
【プログラム】
ジョン・アダムズ:ショート・ライド・イン・ア・ファスト・マシーン
プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番(ユジャ・ワン)
ラフマニノフ:交響曲第2番

 

王府井駅のポスター
ポスター

国家大劇院
国家大劇院

今年5月に行ったときは入口の手荷物検査で引っ掛かり、カメラを預けるように言われてしまったため、建物内部の写真を撮ることができなかったのですが、今回は学習して無事検査を通過。

アトリウム。巨大な空間
国家大劇院のアトリウム

 
  • 北京で非常に良い演奏が出た!
    台北からツアーを聴いてきましたが、北京で非常に良い演奏が出ました。1曲目の「ショート・ライド」から今日は行けそうと感じさせる雰囲気でしたし、ユジャも盤石の演奏。北京のお客さんも反応よく温かいムードでした。プロコフィエフの2楽章が終わったとき、思わず拍手してしまったという感じで拍手がありましたし、同様にラフマニノフの3楽章の後も拍手が入りました。とても自然で拍手せずにいられなかったという雰囲気。5月のユンディ・リのリサイタルのときにはいっぱいいた、演奏中におしゃべりする人もなく、特にラフマニノフは水を打ったように静かに聴いていました。
  • ユジャ人気はいかに?
    ユジャは北京出身なので凱旋みたいなコンサートになるのかと予想していましたが、聴衆は特に熱狂的ではありませんでした。ピアノをやっているから聴きに来たみたいな風情の人もあまり見かけず、ユジャは一般的に中国のピアノをやっている若い人の憧れの的という存在ではないのかもしれません。この点、ユンディとは違います。ラン・ランの自伝に書いてあったように中国の人はコンクール至上主義で、ユジャがコンクールから世に出たのではないからなのかも。
  • アンコール
    ユジャのアンコールはソロ。これまでのコンサートとはまた違う曲で、オペラの有名なメロディをパラフレーズした作品。ユジャは手持ちの曲がすごくたくさんあるそうなので、東京では何を弾くか楽しみです。オーケストラのアンコール曲はこれまでと同じで、やはり中国のフォーク・ソングを用いた曲が大いにウケていました。この曲、繰り返しの記号があるみたいで、今日は曲が終わるときにコンマスのサーシャだけ繰り返そうとしてヘンテコな終わり方になっていました。みんな笑ってご愛敬。繰り返しがある曲はホントに要注意だと思います。ウィーン・フィルのニュー・イヤー・コンサートだって、毎年繰り返ししたかどうかわかんなくなっちゃう団員が何人か出る。上海では聴衆がMTTのやってほしい通りに手をたたけなかった手拍子、北京では裏拍に入るアイディアを撤回していました。聴衆からごく自然に手拍子が起きたので、撤回して正解。
  • サンフランシスコ交響楽団のアジアでの人気
    私がアジアツアーを聴きに行った大きな理由は、MTT/SFSの音楽にアジアの聴衆はどう反応するか実際に見てみたかったから。コンサートホールの聴衆は良い演奏にはストレートに反応する印象を受けました。中国などはサンフランシスコ交響楽団がワールド・クラスのオーケストラとしての地歩を固めた後にクラシック音楽のマーケットが拡大したので、ヨーロッパやアメリカ東海岸とは違って、昔の評価や固定観念にとらわれることなく彼らを評価するのか、サンフランシスコ交響楽団が開拓しやすいマーケットなのかという点に非常に興味があったのですが、チケットの価格や売り出しの扱いの大きさなどから見る限り、私の予想以上に中国は権威志向で有名どころ好きという印象を受けました。だからまずヨーロッパで、アメリカは旧ビッグ・ファイブ。この傾向は日本より強いのではないでしょうか。

さて、北京で非常に良い演奏が出たティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団のアジアツアー。いよいよ残すは東京のみ。トーマスが肩を痛そうにしていたのが少し気がかりですが、東京公演の成功を祈る。

(2012.11.18)

 

サンフランシスコ交響楽団のアジアツアー:台北その1
サンフランシスコ交響楽団のアジアツアー:台北その2
サンフランシスコ交響楽団のアジアツアー:上海その1
サンフランシスコ交響楽団のアジアツアー:上海その2
サンフランシスコ交響楽団のアジアツアー:北京

powered by Quick Homepage Maker 5.1
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional